デュロメータ(ゴム硬度計)とは

■特徴

硬さ測定は各種ゴム、エラストマー、プラスチック製品の特性を知るための重要な項目の一つです。デュロメータ(ゴム硬度計)は取り扱いが簡便で、短時間の測定が可能なため、広く用いられています。

■基本構造

左図に示すように、デュロメータは決められた形の押針をスプリングの力で試料の表面に押しつけて変形を与え、試料の抵抗力とスプリングの力がバランスした状態での押針の「試料への押込み深さ」をもとに、硬度を測定します。

■測定値について

上図に示すように、デュロメータは試料への押込み深さ=押針最大高さ(押針の変位0)の時を0(ポイント)、押込み深さ0の時を100(ポイント)として、この間を等間隔で目盛り、押込み深さを読み取るようにした指示機構が組み込まれています。また、押針から試料に与えられる荷重は、スプリングのたわみによる力を利用しているため一定ではなく、0(ポイント)から100(ポイント)の間で直線的に変化します。

以上のような構造でデュロメータは試料の硬さを測定しますが、その測定値は他の物性値のような単位を持っていません。そのため、硬さとして表現する場合は、ただ単に「50(ポイント)」とするのではなく、例えば「JIS K 6253準拠のタイプAデュロメータで50(ポイント)」などと明示する必要があります。また、それぞれの規格によっても表記方法は様々に規定されています。下表の「各規定にみる硬さ試験の名称・種類と表記方法」をご参照ください。

■各規定にみる硬さ試験の名称・種類と表記方法

規格 試験の名称 種類 50(ポイント)、
1秒以内の場合の表記方法
50(ポイント)、
15秒後の場合の表記方法
加圧面密着後、
指示値読み取りまでの時間
JIS K 6253-1997
加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの
硬さ試験方法
デュロメータ
硬さ試験
タイプ A
デュロメータ
A 50/S A 50/15/S 密着してから1秒以内、
または一定時間後
タイプ D
デュロメータ
D 50/S D 50/15/S
タイプE
デュロメータ
E 50/S E 50/15/S
JIS K 7215-1986
プラスチックのデュロメータ
硬さ試験方法
デュロメータ
硬さ試験
タイプ A
デュロメータ
HDA 50 荷重保持時間15秒を
報告する。
原則として1秒以内の
最大値、または
規定された時間後
タイプ D
デュロメータ
HDD 50
ASTM D2240-2005
ゴムの物性―デュロメータ
硬さ標準試験方法
デュロメータ
硬さ試験
タイプ A
デュロメータ
A 50/1 A 50/15 1秒以内(または最大値)
あるいは
当事者間合意の規定時間後
タイプ D
デュロメータ
D 50/1 D 50/15
ISO 48-4
ゴム―ポケット型による
硬さ試験方法
デュロメータ
硬さ試験
タイプ A
デュロメータ
A 50/1 または A 50 A 50/15 1秒以内、又は規定時間後
タイプ D
デュロメータ
D 50/1 または D 50 D 50/15
タイプE
デュロメータ
E 50/1 または E 50 E 50/15
ISO 868-2003
プラスチック―デュロメータ
試験方法
デュロメータ
硬さ試験
タイプ A
デュロメータ
A 50/1 A 50/15 密着後15±1秒
又は1秒以内
タイプ D
デュロメータ
D 50/1 D 50/15
JIS K 6301-1996
加硫ゴム物理試験方法
スプリング式
硬さ試験
A型 50Hs JIS A 接触させてただちに
C型 50Hs JIS C

(JIS K 6301は、1998年8月に廃止となりました)

■測定上の注意

  1. 温度・湿度は測定値に影響します。
  2. 試料の状態は表面が平滑で凸凹、反り、うねりなどが無いことが必要です。
  3. 同じ場所を続けて測定すると、指示は低くなります。ひとつの試料で複数箇所測定する場合は、前のポイントから6ミリ以上離れたところで測ってください。また試料の端から12ミリ以上内側で測定することも内外の規格に示されています。
  4. デュロメータの試料への押しつけ速度は測定値に影響します。速く押しつけると指示は高く、遅いと低く出るため、できるだけ一定速度で押しつけるようにしてください。特に押しつけ直後から指示が降下していく現象を示すような試料の場合、この点に留意する必要があります。
  5. タイプAデュロメータでは試料の厚さは6ミリ以上とされています。

■検査について

デュロメータを検査する場合、押針の高さをチェックする針高ゲージと、スプリング荷重をチェックする荷重検査器を使用して、そのデュロメータが正しい状態であるか確認することができます。

※コンテンツの無断転載を禁止します